白内障手術とは
当院では日帰りでの白内障手術に対応しています。点眼麻酔をしてから手術を行うため、手術中の痛みはほとんどありません。手術中でも会話はできますので、リラックスしながら手術を受けていただけるよう配慮を行っております。
白内障手術は、極めて小さい切開創から水晶体を超音波で破砕・除去し、水晶体の代わりに眼内レンズを挿入するという流れで行われます。精密かつ丁寧に進める必要があるため、専用の顕微鏡を使って手術を行います。手術は約15〜20分で終わります。挿入する眼内レンズは、挿入後の違和感もなく、半永久的に使い続けて頂くことができます。
当院の白内障手術の特徴
◆センチュリオンビジョンシステムの導入
当院では、日本アルコン株式会社が開発した最新の白内障手術装置である「センチュリオン ビジョン システム(CENTURION VISION SYSTEM)」を採用しています。
合併症リスクを軽減
眼圧の変動を抑え、一定の眼圧を維持させることができるため、従来の手術よりも丁寧でかつ正確で、合併症リスクの低い手術を提供できるようになりました。
手術時間の短縮
白濁して硬くなった水晶体を短時間で破砕し、効率よく吸引できるため、手術時間が今までより短縮することが可能となっております。
目に負担をかけない手術
手術中に起こる眼内圧の変動が軽減されたことにより、より患者様の目に負担がかからない手術が提供できるようになりました。
◆痛みや不快感のない治療を徹底しています
白内障手術で行う麻酔は「点眼麻酔」という、麻酔薬を目薬のようにさすタイプの麻酔です。注射と違って、注入時の痛みは伴いませんのでご安心ください。点眼麻酔を行うことで、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。また、麻酔が効きにく痛や違和感が持続するようでしたら、遠慮なく手術中にお声がけください。速やかに麻酔を追加致します。
また、当院では手術中の不快なまぶしさを軽減するため、高性能でかつ最新モデルの手術用顕微鏡と特殊光源を導入しています。強い光を長時間目にあて続けることは、患者様にまぶしさを我慢させてしまう上に、網膜が損傷するリスクもあります。また、まぶしいとつい、人間は目を反射的に動かしてしまうため、安全上の問題もあります。
そこで当院では、まぶしさを最小限に抑えた白内障手術を提供しています。特殊光源によって患者様はまぶしさを感じることなく、目を動かさずに手術を受けていただけています。
高度な清潔レベルに達したクリーンルーム
当院では、class6の中でもclass5に近い高レベルでの清潔度の環境を整えており、基幹病院などのクリーンルームに対応した手術室と同等のレベルの清潔度レベルです。
こちらは第三者による当院手術室の清潔度測定結果となります。4ヶ所の測定とされていますが、全てでIOS規格クラス6、FED規格クラス1000の基準値を超えています。
- IOS規格クラス6の基準値、0.5μm以上の粒子35200個/m3以下。
➝当院では3554個、1330個、1330個、1071個。
- FED規格クラス1000の基準値、0.5μm以上の粒子1000個/ft3以下。
➝当院では101個、38個、38個、30個。
とどちらの基準値も遥かに下回っています。
清潔度が高いという事は、それだけ感染の危険性が低く手術が可能となっており、より安全に手術が出来る体制を整えさせて頂いております。
白内障の手術方法
残念ながら水晶体の濁りを治す薬は、現在でも開発できていません。そのため、水晶体が濁って、日常生活に支障をきたしている場合は、手術をうけなければなりません。
白内障手術は日帰りで受けられ、安全性も高いです。濁った水晶体の代わりに挿入する眼内レンズは交換する必要もないため、半永久的に使うことができます。レンズの種類によって術後の見え方は異るため、手術前からどんな眼内レンズを使用するか患者様に最適なレンズを選択する必要があります。
白内障手術(超音波水晶体乳化吸引術)の流れ
1点眼麻酔を行った後に、眼球を2~3mm程度切り開きます。
2超音波で水晶体の核と皮質を細かく砕き、吸引して濁った水晶体を除去します。
3水晶体を除去した後に、眼内レンズ(直径6mmほど)を挿入し固定します。
通常の白内障手術では「単焦点眼内レンズ」という眼内レンズを用いますが、当院では「多焦点眼内レンズ」を使った白内障手術にも対応しています。
白内障手術を受ける前の注意事項
現在、白内障は手術で治せるようになりましたが、放置すると失明に至るリスクがある疾患です。世界の失明原因の第1位を占めている疾患で、特に発展途上国のような、医療体制が未発達な地域では白内障で失明してしまう方も少なくありません。
日本での白内障による失明率は「約3%」とされていますが、この統計には治療を受けずにそのままにしてしまった方が多く含まれています。
目に少しでも違和感を覚えた時は、放置せずに眼科を受診し、目の健康状態を確認しておきましょう。白内障の進行状態を定期的に確認していきながら、適切なタイミングで手術を受けるようにしてください。
白内障を放置すると以下のようなリスクがあります
- 水晶体の濁りが強くなると正確な視力が分からなくなるため、手術後の視力に悪影響を与える。
- 水晶体が硬くなることで手術の難易度が高くなり、合併症のリスクも上昇する。
- 通常の手術方法で対応することが不可能になるため、水晶体を全摘出しなければならなくなる
- 眼内レンズの選択肢が狭められる(最悪の場合、眼内レンズを挿入困難となる)
- 進行すると失明に至る緑内障や、ぶどう膜炎などを併発するリスクがある。
- 水晶体が溶ける「水晶体融解」が起こるリスクがある。
手術後の経過観察
手術で見え方が改善されると、手術後の通院を面倒だと感じてしまう方も中にはいらっしゃいますが、手術後の経過観察も手術と同じくらい大切なことです。
まず40歳を超えると、目も歳をとり始めます。そのため白内障や老眼といった、老化現象で起こる疾患はもちろんのこと、他の眼科疾患の発症リスクも高くなります。特に近視の強い方は要注意ですが、白内障や老眼以外の眼科疾患を早く見つけるためにも、きちんと経過観察を受けていただき、こまめに目の状態を眼科で確認されることをおすすめいたします。
- 手術後の容態は患者様によって異なりますので、経過観察以外の目的で受診いただく場合もあります。医師の指示を守って受診してください。
- 加齢による目の老化現象は白内障だけではありません。
手術後の注意事項
技術の進歩によって、白内障の手術は入院せずに行えるようになりました。患者様への負担が軽減できたのは良いことですが、日帰り手術だからこそ、患者様ご自身も手術後の過ごし方について気を付けていただきたいと思います。
特に手術直後は感染症などのリスクが高いため、日常生活を送る上での注意事項を守ってお過ごしください。また、新しい見え方に慣れていただくためにも、明るいところで両眼視するように意識してください。
片目ずつ見え方を比べないでください
元から人間の目は左右それぞれ、見え方が異なります。健康診断や人間ドックなどで受ける視力検査の結果でも左右の度数にばらつきがあるように、元々見え方に左右差はあります。もちろん白内障手術を受けた後でも、左右差を完全になくすことは不可能です。
手術を受けた後は今までと異なった見え方になるため、左右差を比較してしまうと新しい見え方への順応が上手くいかなくなります。
左右の見え方が異なっていても、脳が画像処理して自然とものを見れるようになるため、まずは両眼でものを見るようにしてください。
保護用眼鏡
日中は転倒の可能性もありますし、睡眠中は無意識に目をこすってしまう可能性もありますので、日中も寝ている時も保護用眼鏡を付けてください。手術後から2週間程度の間、装用をお願い致します。
日常生活における注意事項
この表は横にスクロールできます。
手術当日 | 手術翌日 | 手術から3日目以降 | 手術から1週間以降 | |
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食事 | 来院される2時間前から絶食 | 特にありませんが、刺激物は控えてください。 | ||
アルコール | × | × | × | ◯ |
タバコ | × | × | ◯ | |
パソコン作業 | × | 目が疲れない程度の作業なら可能です。 | ||
テレビ・読書 | × | 目が疲れない程度の作業なら可能です。 | ||
仕事 | × | × | オフィスワークなら可能です。 | 力仕事も可能です。 |
運転 | × | × | 視力が元に戻ったら可能です。 | |
入浴・洗顔 ※手術後1週間は、絶対に目に水が入らないようにして頭・身体を洗ってください。 |
|
診察で問題がないようでしたら、理容室またはご家族が介助された状態での洗髪(仰向け)は可能です。 |
問題がないと医師が判断しましたら、入浴・洗髪・洗顔を行っても大丈夫です。 サウナや温泉は2か月後からにしてください。 |
|
化粧 | × | × | アイメイク・目周りのメイク以外でしたら可能です。 | アイメイクもできます。 |
海外旅行 | × | × | × | 問題がないと医師が判断しましたら、1か月後から行っても大丈夫です。 |
運転 | × | × | × | 軽い運動は1週間後にしてください。 |
運転 | × | × | × |
軽い運動は1週間後にしてください。 激しい運動は1か月後から行ってください。 |
薬の服用 | 風邪などで服用されている薬は、手術日でも服用できます。 病院から処方されている薬につきましては、診察時にご相談ください |
上記の表はあくまで一般的な注意事項です。容態によっては、個別に対応させていただくこともあります。また、手術後の経過には個人差がありますので、心配でしたらお気軽にご相談ください。
白内障手術のリスクについて
白内障手術は、最も実施されている眼科手術ですが、術後のリスクがゼロとは断言できません。技術の進歩によって白内障手術は入院せずに、受けられるようになりました。合併症のリスクも過去と比べて、大幅に減少していますが、患者様によって白内障の進行度合いや目の状態は異なります。そのため、起こりやすいリスクも一人ひとり異なります。また、手術前の検査や診察で、目の中の状態を完全に把握することは不可能ですので、手術を行わないと分からないところもあります。
合併症は絶対に起こるものではありませんが、決してゼロとは言えないため、手術を受けていただく際はぜひ、リスクを把握していただきたいと思います。
手術後の経過について
多焦点眼内レンズの場合は、見え方に慣れて視力が安定するまで、数週間〜数か月ほどかかることが多いです。慣れるまでの期間はひとりひとり異なります。
手術費用
単焦点眼内レンズの手術費用(片目)
1割負担の方 | 3割負担の方 | |
---|---|---|
費用(片目) | 約15000円 | 約45000円 |
※手術費用は患者様によって異なります。
※診療報酬点数の改定に伴って、大きく変更されることもあります。
多焦点眼内レンズ(選定療養)
費用(片目) | 310000円から |
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眼内レンズの種類と見え方の違い
眼内レンズとは、白内障手術で除去した水晶体の代わりに入れる人工水晶体です。
眼内レンズは大きく分けると、通常の白内障手術で使われる「単焦点眼内レンズ」と、「多焦点眼内レンズ」の二種類あります。
単焦点眼内レンズはその名の通り、ピントの合う範囲が近方か遠方のどれか一つに限られています。そのため、近方か遠方を見る時のどちらかは眼鏡をかけなければなりませんが、手術前と比べて見え方はかなり良くなります。
多焦点眼内レンズは、近方と遠方の両方(または近方・遠方・中間距離)にピントが合う眼内レンズです。近くも遠くも見えるため、眼鏡をかける回数を大幅に減らせます。